100の知恵:ルーチンの発信物のフォーマット化

  • 定期的に発生し、その構成や内容も季節や月ごとに変動するだけで、大きな枠組みはあまり変わらない、でも必要な発信物は、社会福祉法人では思いのほか存在しますね。

  • ユーアイデザインは社会福祉法人に隣接したところにいるので、そういった発信物を長年デザインしてきました。

  • とはいえ、いちいちデザイナーという職能の手を経由していたのでは、時間がかかるし、コストの面でちょっともったいない。

  • とはいえ、自分たちだけでやると、精度感に欠けたもっさりしたものになってしまう。

  • とはいえ、ルーチンはルーチンなので、毎回新奇性やハイエンドなものを求められているわけではない。手堅く間違いがなく、わかりやすければよい。

  • 「とはいえ」が続きましたが、そんな葛藤を経ると、「フォーマット=ひな形」があれば、専門職の特化した能力を使わずに自分たちの手元で発行できるのではないか、というニーズに当たり前のようにつきあたりました。

 

ユーアイ子育て支援センター「毎月のプログラム」

  • ユーアイ子育て支援センターは、水戸市の子育て支援拠点事業を社会福祉法人ユーアイ村が受託して運営している、子育て中のみなさんとお子さんが日中集える場所です。

  • こんな感じです。なかなか自由でまったりしていて、とてもいい感じです。

  • もちろんただ集うだけではなく、なんらかの特徴的なプログラムがあって、それに参加するためにいらっしゃる方もたくさんいます。

  • そういった方向けに毎月のプログラムを定期的に発行、WEBページ上にアップしています。現物はこんな感じ。これが今回とりあげる「フォーマット化された発信物」です。

  • (まあ実際は、紙としての需要は少なくなってきていて、スマホで見る時はHTMLベースなのですが、まだ過渡期で紙媒体は一定の必要性があることと、事例として適切だったのでとりあげました)

  • いかがでしょう。意外に精度感があると感じられるのではないでしょうか?

  • これはMicrosoft社の「PowerPoint」でつくられています。

  • デザインの専門家がつくるとAdobe社の「Illustrator」とか「InDesign」とかの専用アプリでつくりがちですが、それでは使える人が限られてしまいます。

  • 「PowerPoint」なら、たいていの人はいじれます。ただ、自由度が大きいとどうしても最初に決めたレイアウトやルールが崩れがちになってしまうので、ここでは制約を設けました。それはこんな感じ。

  • 編集できるエリアをまず決めて、その中のテキストや色使いだけが編集対象となります。フォントも大きさも、使える色もスマホ上のプログラム表との連携を考えて、使い方やルールを決めています。

  • 毎号同じような見えになってしまうかもしれませんが、ユーザーから見れば、こういったレファレンス系の情報については下手に変わらない方がわかりやすい。そう割り切っています。

  • 担当職員も次の月のプログラムが決まったら、ただちにPowerPointを起動して、ルールにしたがって悩まずつくることができます。余計なことは考えない。表層上の変化を求めるより、中身で勝負、ですね。

もう一つの事例「ユーアイキッチン お弁当メニュー表」

  • これはユーアイ村「ユーアイキッチン」が毎週作成してお客さまに送信している「お弁当 今週のメニュー表」です。

  • いまはこんなイメージ。

  • これまでは下のようなイメージでした。

  • FAXで各お客さま(事業所)へ送信するのが前提です。←いまだFAXなの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、お客さま内で情報共有して注文はまとめて、ということを考えるとまだまだ有効なのです。

  • なので、モノクロです。そして、これはそもそもPowerpointで作られていました。

  • LINEやWEBからの注文も受け付けたり、PayPayでの決済が可能になったことを機会に、ユーアイデザインで情報を整理して、あらためて、Powerpointベースで現場の担当者が入力できるようにフォーマットを再作成しました。

  • 下のピンクで囲った部分が編集できるエリアです。

  • 考え方は子育て支援センターの「毎月のプログラム」と同じで、編集部分は徹底的に形式化・制約化したものです。(ほかの部分はいじれないようにロックされている)

さて、では、こういうフォーマットは「誰が」つくるのか?

  • 伝えたい情報を整理して、伝わるような形やメディアに変換して…という仕事は、福祉の現場では実はふつうに発生している仕事です。伝達のための書類やWEBページをつくる仕事は日常的にみなさまがやられていることでしょう。

  • とはいえ、そればかりを業務にしているわけではないし、まして情報整理の専門家ではない。

  • 「絵心がある」「若い(詳しい)からやれるでしょ」と評価されている法人内の職員がたまたまやっているというのが実情かもしれません。

  • そこでプチチャレンジ。

  • 実は、世の中にある「デザイン事務所」の多くはこのような対応が可能です。

  • なので、「実際の展開はこちらでやるから、その『ひな形(フォーマット)』をつくるための初期業務だけを切り取って」お願いしてみてはいかがでしょうか?

  • その時には、このWEBページをぜひ使って説明してみてください。

  • わざわざデザイン事務所にお金を払ってお願いすることかなあ…、でも、事業を推進する上で必要でいつも使うし、基本見やすくないといけないし、実は意外に肝なモノなのかもしれない、とうすうす思っている場合、ぜひお考えください!