壺という「ビジュアル」を活かしつつ、「手間なく・短時間」でおいしい焼き芋をつくる方法
「低温・長時間焼きこそ、糊化・糖化・凝縮してトロトロの甘々になる」とかかんとか焼き芋業界では言われてますが、それはおいといて、
ここでは、いろんな意味で効果抜群の「壺をつかったカンタン焼き芋づくり」を紹介します。
近年の焼き芋って、とても美味しいんです。品種改良が進み、しっとりネットリ系の焼き芋に適したさつまいも(紅はるか、シルクスイートなど)があります。昔ながらのホクホク系が好みという方もいらっしゃいますね。ユーアイデザインでは「紅はるか」を使っています。
そして「壺焼き」。壺ってビジュアル的になかなかインパクトがあるのと、なんとなくノスタルジーを誘うみたいで(熱源が「練炭」というのもその要因の一つ)、
それを起点にして、イベントやミーティング時の「スパイス」や「話題」になったり、壺に手をかざして温まりながら世間話ができるといった「座持ちの良さ」みたいな別の価値も提供できるんですよ。焚火を囲むような感じに近いかもしれませんね。
これが壺焼き芋用の壺。けっこうでかいです。移動に力が必要なので、ユーアイデザインでは、オリジナルでキャスター付きの可動式壺ホルダーを製作しました。転倒防止にもなります。
0 用意するもの
焼き芋用の壺(通販サイトなどで売っています。新品だと10数万円から。メルカリなどで中古品を探すのも手)。蓋兼用で保温容器付きです。
七輪、練炭、追加投入用の木炭、燃焼促進剤(ホームセンターで買える)
ライター、温度計、革製の耐熱グローブ、S字フック(ホームセンターで買える)
1 壺の予熱
ライターで着火。燃焼剤があるのですぐに火はつく。
煙がおさまってきたら、蓋をする。
蓋をしめるとき、蓋とつぼの間にS字フックをかませて、空気の流入のための隙間(数ミリ)をつくる。これ、大事です。【POINT】
180~200度ぐらいになって安定し、かつ、つぼの胴を触ってみて1秒も手をつけていられないぐらいの温度になるまで待つ。
2(予熱を待つ間)芋を洗う
土が完全に落ちて、見た目にきれいだな、という程度に軽く洗う。皮に傷はつけないようにやさしく。【POINT】
それを乾かす。ペーパータオルなどで拭いてもよい。ビショビショのままは入れません。
3 芋の投入
蓋をあけて、手早く芋をホルダーにセットする。
蓋をしめたら、蓋とつぼの間にS字フックを両端に2か所かませて、空気の流入のための隙間(数ミリ)をつくる。これ、大事です。【POINT】
そして、45分ほど待つ。
その間、温度計でときどき壺内の温度を確認する。
4(45分後)1回目 芋を上下反転
45分たったら(この頃には周囲に甘い芋の匂いが漂っている!)、
蓋をあけて、芋を上下ひっくり返す。
ちょっと押してみて、ちょっと柔らかい程度がいい感じ。
上下ひっくり返すのは、壺内の温度が上下位置で違うから。まんべんなく焼くために。
手早くやって、蓋をしめる。
この工程で温度が下がるので、また空気口から強制送風で温度を上げてもよい。
5(15分後)2回目 芋の取り出し or 上下反転
15分たったら、
蓋をあけて、芋の焼け具合の確認。ちょっと押してみて、「蜜が噴き出ている/お、柔らかい(固い芯が無い感じ)」となったら出し頃です。
まだ芯が残っていてちょっと固いかな~という場合は、また上下ひっくり返して焼きを継続。(MAX15分以内)
6 急いで新聞紙でくるんで、保温箱に入れる
水分を適度に保持するために、急いで新聞紙にくるんで、
水産品用の発泡スチロールの箱などに入れておくと、あったかいまま数時間はいけます。
あつあつを食べても、もちろんおいしいけれど、
ちょっと休ませると、焼き芋全体に蜜がいきわたって、トロトロ感や甘みが増すように思います。【POINT】
さて、一つ味わってみましょう。
焼き芋ならではの、ちょっと焦げ感のある甘い匂いがまず鼻腔に充満して、
その直後に、何も足さない芋本来の甘味が、焼きたての熱さとねっとりした触感をともなって口の中にひろがります。甘い。何度食べても、うまい。
7 みんなで焼いて・みんなで食べると、もっと楽しい・もっとおいしい
壺焼き芋は、ユーアイ村では「子育て支援センター」での焼き芋会や「ユーアイファクトリー」(障害福祉サービス事業所)の所内イベント時のおやつなどで大活躍です。
今後は「水戸市東部高齢者支援センター」のプチイベント開催時にも出動しようと思います。
壺焼き芋は「待ち」の時間がけっこうあります。
準備して、芋を入れて、温度の様子を見ながら、次の工程への頃合いを見計らうこと。焼き上がりを待つこと。
その間のとりとめないおしゃべりはいいものですよ。オチがなくても全然大丈夫。焼き加減を計りながら緩いやりとりができることも、壺焼き芋のだいご味です。